2019/03/01
建物の中で最も熱容量の大きな基礎、次いで壁、床、屋根、これらを熱伝導率の低い断熱材で包む外断熱工法は、「快適」と「省エネ」の両立を可能にしました。
外断熱と熱容量
熱容量=比熱×質量
(単位kcal / m3℃h)
暖房というと空気を暖めるのが一般的なイメージではないでしょうか?しかし、空気を暖めることほど簡単なことはなく、逆にこれほど効率の悪く無駄なこともありません。なぜなら空気の熱容量は極めて小さく、水のわずか1 / 3,500、コンクリートの1 / 1,500にすぎず、温まりやすいけれど、すぐに冷めてしまうからです。
では効率の良い(=省エネルギー)暖房とはどのようなものでしょうか?建物に使われる材料の中で熱容量の大きなものといえばコンクリートがあります。その熱容量は、空気の1,500倍。つまり20cm厚さの基礎コンクリートは、2階建(高さ6m)の空気の1 / 30の容積にもかかわらず、50倍の熱容量を持っていることになります。つまり1軒の家の空気より50倍の熱容量があり、それだけ冷めにくいということになります。外断熱工法では、こうした熱容量の大きな材料であるコンクリート、壁材、床材、天井材、屋根材などを熱伝導率の低い断熱材で被い、蓄熱体として活用できます。温熱的にこれほど効率の良い工法はありません。
基礎コンクリートによる蓄熱暖房
木造住宅の中で最も熱容量の大きな部材といえば、当然「基礎コンクリート」ということになります。厚めに施工されたコンクリートは、冬の1日を快適に過ごすのに十分なエネルギーを蓄熱してくれます。コンクリートを温水や電気で温め、蓄えたエネルギーをゆっくり室内に伝えることで、省エネの快適な冬を実現しました。具体的な使用例では、タイマーで、朝方3~4時間暖めただけで、1日中、家中、暖かくお過ごしいただけます。熱源の運転時間も短く、家中隅々まで快適な温度を保持できます。熱源が電気の場合、深夜電力の時間帯を使えば、さらに省エネでお使いいただけます。
エネルギー効率「外断熱」VS「内断熱」
エネルギー効率の観点から「外断熱(外張り断熱)」「内断熱(壁体内充填断熱)」を比較したとき、外断熱工法の優位性は、論を待ちません。仮に、ひとつの建物に冷暖房設備など一定のエネルギーを加えたとします。熱容量の小さな空気は、少しのエネルギーですぐに温度変化し、快適温度になります。一方熱容量の大きな基礎、床、壁などは、すぐには温度変化することなく、ゆっくりと温まったり、冷やされたりします。コンクリートの熱容量は、空気の約1,500倍、土壁は、約750倍、木材(スギ)でも500倍もあり、その温度を変化させるには大きなエネルギーが必要となります。逆に一旦温まれば冷めにくく、冷やしてしまえば温まりにくい性質といえます。この性質を有効に利用するには、熱容量の大きな最良に蓄熱されたエネルギーを逃がすことなく取込み、長時間保持することが肝要といえます。
完全外断熱工法は、建物の大半を断熱材で覆うことで蓄熱エネルギーを最大限活用可能にしています。他方、壁体内にグラスウールを充填するような工法では、隙間のない充填が困難で、壁体そのものを断熱材で包むわけではなく、取り込むのは熱容量の小さな空気ということになります。従って、冷暖房を止めれば、冷めやすい、温まりやすい建物といえます。同じ高気密、高断熱と言ってもその省エネルギー性能には大きな違いがあります。
新商品
「エネシフト」は、究極の省エネ・エコ冷暖房設備です。ふんだんにふりそそぐ太陽からの熱エネルギーを地中に蓄熱、冬はそのまま暖房に、夏はヒートポンプで冷房にとりいれた自然エネルギーを熱容量の大きな地中で蓄え、四季を通じて活用できます。環境に負荷のない省エネ冷暖房の優れものです。